類体論へ至る道―初等数論からの代数入門

類体論へ至る道―初等数論からの代数入門

  • 作者: 足立恒雄
  • 出版社/メーカー: 日本評論社
  • 発売日: 2010/02
  • メディア: 単行本
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随分と昔にこの本の初版を購入して勉強したことがあります。数年前に丸善で書棚を見ていると、大幅改定版が出ているのを見つけて、買ってしまった、という本です。

整数論の勉強を続けると、群、環、整域、体、イデアルなど抽象度の高い対象とそれらに関する定理がどんどん出てきます。これは調べたい対象である整数の集合 ( Z ) がこれらの抽象的な性質を持つため、そちらの言葉で定理を述べて証明するほうが見通しがよい、という理由もあるのだと思います。

 

しかし一つ気をつけることがあります。抽象度が上がるのではなく、数として調べたい対象が広がることもあるのです。代数的数、代数的整数は複素数なのですが、有理数や整数と似た性質を持っており、整数だけでなく代数的数や代数的整数も大いに興味深い研究対象です。調べる対象が広がったのです。この「類体論へ至る道」でも第6章まで抽象代数を導入し、第7章で代数体(代数的数や代数的整数の話)に転じます。

 

代数的数とは、係数が有理数の1変数代数方程式の解になっている複素数です。代数的整数とは、最大次数の係数が1である、係数が整数の1変数代数方程式の解になっている複素数です。例えばどんな整数 ( n ) も最大次数の係数が1である代数方程式 ( x-n=0 ) の解になっていますから、代数的整数です。( m ) を整数として ( sqrt{m} ) は代数的整数ですし、従って虚数単位 ( i )も代数的整数です。どちらも( {x}^2-n=0 )の解になっています。

 

( a, b ) を有理数、( m ) を非平方数の自然数として( a+b , sqrt{m} ) という形の数は代数的数です。( {(x-a)}^2-m , {b}^2=0 ) という方程式の解になっていますね。

 

この形の数の集合は体を成します。つまり足し算及び掛け算で閉じており、足し算には逆元があり、掛け算には0以外の元に逆元があります。確かめてみましょう。

(%i1) (a+b*sqrt(m)) + (c+d*sqrt(m));

$$ ag{%o1} d,sqrt{m}+b,sqrt{m}+c+a $$

(%i2) first(ev(ratvars(%,sqrt(m)),ratsimp));

$$ ag{%o2} left(d+b ight),sqrt{m}+c+a $$

(%i3) (a+b*sqrt(m)) * (c+d*sqrt(m));

$$ ag{%o3} left(b,sqrt{m}+a ight),left(d,sqrt{m}+c ight) $$

(%i4) first(ev(ratvars(expand(%),sqrt(m)),ratsimp));

$$ ag{%o4} b,d,m+left(a,d+b,c ight),sqrt{m}+a,c $$

(%i5) -(a+b*sqrt(m));

$$ ag{%o5} -b,sqrt{m}-a $$

(%i6) 1/(a+b*sqrt(m));

$$ ag{%o6} frac{1}{b,sqrt{m}+a} $$

(%i7) ratsimp(%),algebraic:true,expand;

$$ ag{%o7} frac{b,sqrt{m}}{b^2,m-a^2}-frac{a}{b^2,m-a^2} $$